虎哲の探究

単なる私立校国語科教員の戯言。未熟者による日々研鑽の記録。

2020年の振り返りと2021年の抱負

 2020年は、変化の年だった。自分の環境も社会も大きな変化があった。

 パンデミックによって「これまで通り」では立ち行かない事態が起きた。

 枚挙に暇はないが、元々テクノロジー的には可能だったが今一つ踏み切れなかった在宅勤務・オンライン授業という選択を迫られたのは大きいだろう。Zoom万歳。

 個人的な環境の変化でいえば、大学院から学校へと軸足を移した。

 修士課程の二年間はもう少し着実に研究を重ねていれば…という後悔はあるもののフットワーク軽く、自分の見聞や人脈を広めるためにどこへでも行こうと飛び回った。(夜行バスで)

 母校教員になるために、またその後のキャリアのために…

 都内私立大学付属中高一貫校と東京都公立学校とで悩みに悩んだ挙句、ひょいと来た追加合格に誘われて、諸般の都合で気軽に研究会に参加できない異国の地にある学校に勤めることにした。

 2020年は修論の追い込みとVISA取得のためのもろもろ(語学試験・ボンボン金取られる手続き)で幕を開けた。
 1学期の仕事は実際のコマ数の半分の授業と毎日の教員会議しかなかったので時間的なゆとりがあった。Zoomでやっていた学部ゼミにも時折顔を出し、修了したか怪しいほどであった。

 本格的な対面授業が始まってからは激動で、本を読む暇は…なくはないが体力的にキツく、こなすので精いっぱい。12月中旬に休みになってからのんびりと羽を伸ばしている。つながりが絶たれている今、オンラインでつながることが出来るのは有難い。

 日本国語教育学会大学部会研究会で聞いた

「北は北海道、南は沖縄。果てはイギリス」という挨拶からも時代が感じられた。

 今の学校への就職を決めた時

―フラフラせず学校にどっかりと腰を据えよう!

と着任から3年は半ば趣味と化してきた研究会参加ができないことを覚悟していた。が、研究会のオンライン開催は今後も続いてほしい。

 

  1学期や休み中はそこそこ本を読むことが出来た。

hama1046.hatenablog.com

2020年を語る個人的三大文学『ペスト』『一九八四年』『方丈記』をご紹介。

 

ペスト(新潮文庫)

ペスト(新潮文庫)

 

  『ペスト』がコロナ禍で再び脚光を浴びた(増刷、関連本の大量出版)のは皆の知るところだろう。100分de名著再放送で出合い、今を考えるために読んだ。

 今そのものを考えるのは複雑でも『ペスト』の中の言葉に触れて考えることは出来るか…と生徒にも部分的に取り上げて読ませた。厳しかったろうと思う。

 

 大いに参考にしたこちらも書き下ろしを追加して再販。

 

 参考

hama1046.hatenablog.com

 

  〈無知は力なり〉を体現する為政者、都合のいいように過去を改変するなどまさに今起こっていることだ!と驚かされる。また、言葉を少なくすることによって思考を狭めやがて不可能にするニュースピークというやり方は最も恐ろしい支配だと思った。

 言葉は世界を豊かにするという主張を伝えるのは難しいが、言葉がないものは考えることすらできずひたすら搾取される存在になるということをこれほど雄弁に語るものはない。

  25歳の若造にはまだ早い!!と言われそうだが。こちらはビギナーズクラシックスで一通り読んだ。世界的災害を生きる私、生徒に少しでも知恵を与えてくれるようにと『方丈記』を読み、語句調べ・感想記入というオンライン課題を課している。

月日かさなり、年経にし後は、ことばにかけて言ひ出づる人だになし

 という冒頭部に次ぐ有名な一文は

コロナの時代の僕ら

コロナの時代の僕ら

 

 この本の「私は忘れたくない」という一節を思い起こさせる。長明は「無常」の経験を忘れる人間を問題にしたのではという武田氏の指摘は強く印象に残った。

 

という言葉に影響を受けて

 柏木由紀さんのメイク動画のおかげで、健康になった2020年 - 東京物語 (hatenablog.com)

 引き込まれる。読ませる文章だよなぁ。

 

 さて、来年の抱負は阪神のスローガンと同じく

挑む 超える 頂へ

 「これまで通り」の学校でないとはいえ、一年間専任教員として学校という場を経験したのは大きい。挑み、これまでの自分を超えて、母校教員にふさわしい存在に。

 阪神タイガースが来シーズン「頂へ」駆け上がるさまを見届け、私自身はゆっくり着実に自分の「頂」を目指していく一年ということで。