虎哲の探究

単なる私立校国語科教員の戯言。未熟者による日々研鑽の記録。

探究を探究する高校教師たち―第16回高大連携教育フォーラム(前編)

ご依頼を頂けるのは有り難いこと。参加したイベントのまとめを行うことは自分が何を学んだかをメタ認知し、学び足りない部分を浮き上がらせることにも役に立つ。

フォーラムのタイトルは

いま育成すべき力は何かをともに考えるⅡ―高等学校・大学の役割―

~次期高等学校学習指導要領と高大接続の本質~

である。実におなかいっぱいなタイトルで高等学校に求められることの多さや、改革の波をいかに乗りこなすか大学とともに考えていくことの重要性が感じられる。

 

趣旨説明(大学コンソーシアム京都高大連携推進室・大谷大学 荒瀬克己先生)

 高大接続については「大学入学共通テスト」に関心が集中しているが、「高大接続改革」は「高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜を一体的に改革することにより高校生・大学生に必要となる資質・能力を身に付けさせるため」であることを強調なさった。

 またキャリア教育は仕事のイメージが強いが、中央教育審議会答申(2011年1月)

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2011/02/01/1301878_1_1.pdf

の16-17頁の「職業教育」「キャリア教育」「キャリア」の定義を引用し、キャリア教育の意味やそれを学校で行う意義を再確認して下さったのは私にとっては有り難かった。大学入学以前の答申はほとんど目を通せていないが貴重な考えがある場合が多い。

 

新学習指導要領は何を目指すのか~習得・活用・探究における「主体的・対話的で深い学び」~(東京大学教育学研究科 市川伸一先生)

 まず先生の最初の職場が我が大学だったことに驚いた。まあ世間的には首都圏国公立大学の一角という認識であり、最寄駅から遠いことを除けば非常にいい大学だと思っている。どの大学もそうかと思うが調べてみると「おお!」と驚くビッグネームが在籍していることが多い。

 まず新学習指導要領は基本的に現行指導要領の流れを汲んでおり、生きる力/習得・活用・探究/教授と活動のバランスといったキーワードは継承している。より強調・拡張するためのキーワードとして社会に開かれた教育課程/教科横断的な資質・能力の育成が挙げられている。また今までの流れの実効性を高めるために教科横断的編成やPDCA、リソースの配分といったカリキュラム・マネジメント、主体的・対話的で深い学びといったアクティブ・ラーニングの視点が取り入れられている。これらはともすれば変わることにうろたえがちな教育現場を勇気づける指摘である。しかしながら、言葉を変えるほどに強調し、変化を求めていることもまた見落としてはいけないだろう。諸先輩教員に臆することなく、変えるべきところは変えるという意識の下先導する役割が新人教員の責務だろう。

 中教審とアクティブラーニングについては「特定の方を普及させるものではない」という大前提を踏まえつつ、「深い学び」と「深い理解」について紹介なさった。「深い学び」とは「深い理解、情報の精査、問題発見・解決、創造」、「深い理解」とは「知識の関連付け、一般化、活用」というキーワードがあるそう。すなわち「知識」は断片でなく構造化された深い理解を伴った知識のことを指すという。いずれにしても教科教育において「深い学び」を実現するうえで、習得・活用だけでなく探究というところに踏み込んでいかざるを得ないだろう。

 アクティブ・ラーニングの実例として探究的なアクティブ・ラーニングと習得の授業におけるアクティブ・ラーニングをそれぞれ紹介なさった。探究的なアクティブ・ラーニングとして挙げられたThinkingQuestについて存じ上げなかったので知れてよかった。中高生が子どもを対象とした学習に役立つホームページを作るコンテストだそうだ。中高生3人1組でコーチ的役割の教師も付くそう。是非国内の実践についても調べ教科への応用を図りたい。Researcher-Like Activity自体は存じ上げていたが、市川先生がご紹介なさった論文の査読やパネルディスカッションなどはうまく国語科の学習に取り入れられそうだと参考になった。習得の授業におけるアクティブ・ラーニングとして、学び合いやジグソー法、反転授業など様々に上げていたが、市川先生の説明は「教えて考えさせる授業」の理解確認、理解深化に力点があったように思う。

 「教えて考えさせる授業」は指導と問題演習のように「教える場面」と「考えさせる場面」があればよいのではなく、現場との共同研究によってある程度洗練された構成要素がある。「教師の説明」生徒自身に説明させるなど「理解確認」、理解したことを活用する難しい問いを解くなど「理解深化」そして分かったこと分からないことをメタ認知する「自己評価」である。印象的だったのが自己評価の書き方を指導すべきだと市川先生が明言したことである。何をした何が出来たという表層にとどまらない自己評価にするためには自己を振り返る視点や語彙が求められるということであろう。

  普遍的な要素を組み込んでいると思うがやはり「型」に走っているような気がしないでもない。国語科でどのような「教えて考えさせる授業」が実現できるかこの本を読んで考えたい。

教えて考えさせる中学校国語科授業づくり (中学校国語サポートBOOKS)

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 後半の学習法や学習観の話については体験で自覚する部分が多くまさに我が意を得たりという感じであった。認知心理学の知見に裏付けられていると知ると試す価値ありと試行錯誤の学習の面白さに使ってくれるだろうと。以下の本を読んで現在担当している生徒に勧めたいなと。それにしても中3くらいの頃に母校に講演しに来てくだされば今頃東大生の院生だったかも…なんて。笑

 

勉強法の科学――心理学から学習を探る (岩波科学ライブラリー)

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勉強法が変わる本―心理学からのアドバイス (岩波ジュニア新書)

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