虎哲の探究

一介の公立中高国語科教員の戯言。未熟者による日々研鑽の記録。

高等学校『国語』新学習指導要領はどうなるか―必履修科目「現代の国語」「言語文化」

 

日本語学 2018年 11 月号 [雑誌]

日本語学 2018年 11 月号 [雑誌]

 

  『日本語学』に触発されて。キャッチーな特集タイトルから記事名を拝借。特集を読んでいるときふと思い出したことがある。

 あすこまさんと初めてお会いしお話しさせていただいた時に、

はまてんさんは自身が中学と高校どちらの先生に向いていると思いますか

というような問い(ちょうど一か月ほど前のことで細かい言い回しはうろ覚え)を投げかけられ、私はその問いにどちらともつかないようなご返答をしたのだ。

 私は修士課程修了後中高一貫校で、もっと言うと母校のような中等教育学校に勤めたい。将来的に母校に勤めるうえでもプラスになるかなと。

 今でも中高どちらの教員が自分に向いているかは分からないが、先掲ツイートにあるように科目編成が変わり国語科のあり方も「さざ波」で済まない大きな変化が起こるであろう高校に勤めたい。そして出来ることなら高1「現代の国語」「言語文化」どちらかの担当を持たせたほしいという思いがある。この思いを実現すべく、なるべく自分の思いの実現するような学校を探していきたい。

 当該特集では「現代の国語」を幸田国広先生が、「言語文化」を山下直先生が担当なさっている。5/12にあった日本国語教育学会高等学校部会の研究会でもこのお二人がそれぞれの教科についての説明を担当なさっていたため、各科目の具体化の鍵を握っているのだろう。明日の高等学校部会も楽しみである。

 

高等学校国語科 新科目編成とこれからの授業づくり (シリーズ国語授業づくり)

高等学校国語科 新科目編成とこれからの授業づくり (シリーズ国語授業づくり)

 

ロカルノ先生にお勧めされたのに まだ手が出ていないこの本。執筆者の顔触れは『日本語学』特集執筆者とおおよそ重複している。

 『高等学校「現代の国語」はどうなるか』で幸田先生は過去にあった「現代国語」の登場の仕方やそれによって生じた今の課題を紹介して専門国語教育史の可能性の一端を示しつつも、学習指導要領の文言・新テストとの関係・実効性の鍵を握る教科書の問題について具体的かつ鮮やかに論を展開している。

 『「言語文化」はどのような科目か』で山下先生は現行のA系科目すなわち「現代文A」「古典A」との関連を示し、示唆を与えている。「言語文化」では、現行の「国語総合」のように内容理解の重視に重きを置き過ぎないよう、言語活動例を紹介しその性質を論じている。

 必履修科目2つの関連については月刊国語教育研究12月号小特集高山実佐先生の論文(特に30頁上段)に詳しい。

先掲ツイートの10月の全国大学国語教育学会大会においても幸田先生が指摘しており、それが正しいか否かはともかく理解しやすい関連である。国語総合においても本来は一人の授業者によって現古漢「総合」的に扱われることが理想であったが、現状はそのように授業している学校の方が少ないという。「現代の国語」「言語文化」の担当者は連携を密にとることでその効果を最大化することが出来る。「言語文化」の言語活動例のような言語活動を行う場合、「現代の国語」でその活動のやり方を学んでおく必要があると6月の南部国語の会主催国語教育研究会の高校分科会山下先生はすでに指摘なさっていた。こういう時に国立大学附属校が模範となる授業を示せるとよいのだが…。今年の東大附属公開研が楽しみである。

 

最後に

ということなので

これが今回のブログ記事のオチです。文句ははこせんさんにお願いします。笑